おおつるレポート(2008年)

種をまく市場を間違えるな

情報ネットワーク2008年12月表紙より

ある著名な経営者が「経営者の仕事で最も重要なことは、どこに種をまくかを決めることだ」と言っていたが、まさにその通り。砂漠に種をまいても芽は出ない。よしんば芽が出てもその状態で育てるのは大変だ。企業として、ヒト、モノ、カネ、時間などの有限な資源を投入する市場を間違えると、決して花は咲かない。
また、現在活動しているマーケットの将来性をキチンと判断することが重要です。種をまく市場を決めるということは、自社の強みや弱みを徹底的に分析することです。マーケットには地理的な特性もあるし、年齢的な特性もあれば、所得的な特性もあります。それぞれ自社の強みを活かせる面で勝負をしなければ、今後の本格的な「供給過剰時代」に勝ち残れない。

(5年後の大市場 小宮一慶 著 ビジネス社)

今の供給過剰時代の中、今回アメリカのサブプライムローンの崩壊から世界的な相場の大暴落が起こりました。今後、中小企業の経営に色々な影響が出てくるものと思われます。今回の出来事をどう捉えるかが今後の自社の経営に大きな影響を与えることでしょう。
経営の面では「どこに種をまくかを決めること」、お金の面では「間接金融から少人数私募債等を使い直接金融等」への一部シフト、そして一番大事なのが今まで以上にキャッシュフロー経営に徹するため、在庫の圧縮、売掛金の早期回収、遊休資産の売却等を推し進めることです。併せて緊急保証制度や特別借換融資制度等の保証協会の保証を通じ、10年間で借入ができる制度等を利用し、今までの借入金の返済計画等を早急に見直しすることが、今回の世界的な相場の大暴落からくる影響に負けない経営につながると思います。


税理士 大津留廣和

将来漠然不安症候群

情報ネットワーク2008年11月表紙より

アメリカのサブプライムローンの崩壊、リーマン・ブラザーズの倒産等に続き、9月29日の米国株式市場は、ニューヨークダウが777ドル超と過去最大の下幅(6.98%安)に落ち込むなど、NY株が軒並み暴落しました。
世の中不安心理で充満している感じがします。
それに輪をかけて、わが国の年金問題等のため、平均的な日本人は大きな金融資産を持ちながら「老後が大変」と言っています。
そして日本人が死ぬまで貯蓄を続けるには、3つの理由が考えられるそうです。
①一つは漠然とした経済的な不安
②二つ目はお金の使い方を教えていないこと
③三つ目はその根本にあるライフフプランの欠如

(大前流 心理経済学 大前研一著 講談社より)

解決策のカギは自分達の「心理」の中にあります。個人においてはこのことの解決策はしっかり、学生とは違う社会人的な勉強をし、自分の今現在の財産管理と将来の収入予定と支払い予定の現実を直視し、きちんと管理することです。このことを中小企業の経営にあてはめてみるといままでの含み資産的な経営から脱却して、今現在を千載一隅のチャンスに繋げていくことです。そのためには自社の強み、弱みを再度総点検し、全員が経営者的センスを身につけるため、ものごとをキャッシュベースで考える癖をつけていくことです。最近のように特に構造変化が激しい時代においては、「新規顧客の開拓」と「既存顧客の満足」の両足に軸をおいたバランス感覚が不可欠です。そして、今まで行っている業務の前後にサービス業化するような所はないかどうか、検討することが付加価値を付けるスタートのように感じます。

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税理士 大津留廣和

急激な構造変化の時代

情報ネットワーク2008年10月表紙より

~TKC全国会 飯塚毅初代会長の文書より~

「いまここに運命の岐れ路があると認識できる人にとっては、
運命の岐れ路は実在するが、
足下に運命の岐れ路を読み取れない人にとっては
自分がいま運命の岐れ路に立っているとの実感はない。
幸か不幸か運命は無形である。
人類始まって以来の大変革期の真っ只中にいま暮らしながら、
昨日の通りに明日も来るものだと思う。
なるほど夜の次には朝が来るものだと思う。
無数の変化が現に生起し、消滅している事実を見落としてはなるまい。
問題はその変換の方向を読み取ることである。

上記の文書は私は何回も自分に言い聞かせている文書のひとつでもあります。社会の変化は複利的に動き、動きだすと速いものがあります。インターネットの通信使用料も気付けば、日本は世界一安い国になっています。不動産も証券化の流れで気付けば、いつのまにか金融商品の一部になってしまいました。私達の会計事務所の業務の一つでもある申告書の提出も、この2年間でほとんどの関与先を電子申告で提出するようにしました。今回中小企業の経営承継を後押しするために、国が中小企業経営承継円滑化法という法律を作ったということは、今後中小企業の経営において、物凄い世の中の変化が起こるということでしょう。会計の重要性を再度確認し、変化の先頭に立ち、社会の変化は複利的に動き、動きだすと速いことを再認識して行動して行きましょう。


税理士 大津留廣和

中小企業の経営環境の変化と課題

情報ネットワーク2008年9月表紙より

廃業率が開業率を上回る傾向が続く中、我が国中小企業は20年間で約110万社減少しています。その原因は「需要が頭打ち」「競争が激しい」「後継者がいない」など様々ですが、その根底には我が国経済の大規模な構造変化があるのではないでしょうか。一つは少子高齢化による人口トレンドの逆転、もう一つはバブル崩壊以降の低成長の中で赤字企業が7割を占める現実です。
つまり、人口減少と企業数の減少による国内市場の縮小トレンドは明らかであり、バブル崩壊以降続いている低成長と赤字企業割合の高止まり、少子高齢化による経営者の高齢化と後継者不足は、10年後の我が国中小企業を考える場合に重要なキーワードになると思われます。
企業が存続し続き、発展していくためには黒字経営を継続することが大前提です。
そうでなければ後継者も継ぎたくないでしょう。そして、中小企業のほとんどが同族会社であることから、経営の承継と同時に資産の承継も大きな課題になっています。
そこで先の通常国会で「中小企業における経営の承継の円滑化法に関する法律」が成立し、
      ①民法の特例(遺留分に関する民法の特例)
      ②金融支援 (経営の円滑な承継のための資金融資制度)
      ③取引相場のない株式等の納税猶予制度
の3つの大きな柱の創設が予定されています。

経営者が将来のビジョンを明確にし、その具体的な道筋を明らかにすることが、我々中小企業の存続・発展へとつながっていきます。
そこで、経営者の皆様に様々な経営課題に気付いて頂くとともに、最新の情報をお伝えする場として、今回平成20年10月6日(月)にタワーホール船堀にてTKC全国会との協賛で経営承継支援に対するセミナーを企画させて頂きました。
企業の永続的繁栄・経営者のハッピーリタイアを考える機会として、一度自社の経営課題を整理して頂ければと思います。


税理士 大津留廣和

経済発展の鍵

情報ネットワーク2008年8月表紙より

お金について一日単位で考えるのは、その日暮らしをしている、お金に困っている人たちです。
週単位で考える人たちは、やりくりに追われながら何とか暮らしている、お金のない人たちです。
月単位で考えるミドルクラスの人たちは、住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードの利用代金など、月々の支払いを気にかけています。
年単位で考えている人たちは、税金対策や資産管理、投資に関心をもつリッチな人たちです。
10年単位で考えるのはさらにリッチな人たち、億万長者、ミリオネアです。

(億万長者になる人とそこそこで終わる人の10の分かれ目キース・キャメロン・スミス著 講談社より)

経営についても同じことが言える感じがします。
一日単位で考える経営者、週単位で考える経営者、月単位で考える経営者、年単位で考える経営者、10年単位で考える経営者では自ずと視野が違います。
いろいろな社長とお話をして感じることは、長期的な視野を持ち長期的な考え方を身に着けた経営者は会社の業績も規模も大きくなり必然的に成長・発展している気がします。

裏表紙より TKC全国会のテレビCM
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税理士 大津留廣和

社長とは何をするのか

情報ネットワーク2008年7月表紙より

社長は事業を経営する人である。
事業経営には、次のたった2つの要素があるだけです。
ひとつは「見抜く」ことであり、もうひとつは「満たす」ことです。
究極のところは、この2つの要素しかないのです。
「見抜く」とは、いまお客さんがいちばんほしがっているものを見抜くことです。言い換えると「いま売れて儲かるものは何か」を見抜く。
「満たす」仕事とは経営目標と方針を決定し推進する仕事。
「見抜く」ことは一人でできるが、「満たす」ことは一人ではできない。
ここが社長の仕事として大事なところです

成功する事業承継 井上和弘 著より


このことを決算書で考えると損益計算書は全員でつくるもの、
貸借対照表は社長しか手をつけられないものです。
貸借対照表を見抜いて決断することが社長の仕事なのです。
ゆえにゴルフ会員権等を売るか、売らないのか、在庫を圧縮するのか、しないのか、がキャッシュにつながることをもっと意識することが決定的に重要なことです。

税理士 大津留廣和

中小企業の事業承継の円滑化法

情報ネットワーク2008年6月表紙より

中小企業の事業承継の円滑化は、事業の継続・発展を通じて地域経済の活力を維持し、我が国経済の基盤である中小企業の雇用を確保するなどの観点から、極めて重要な課題となっています。そのため、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案」(中小企業経営承継円滑化法①民法の遺留分に関する特例 ②金融支援 ③相続税の課税の特例)が検討されています。中小企業が日本経済の中核的な存在であることは、いまさら指摘するまでもありません。その中小企業は、企業数で全体の9割以上、雇用では約7割を占めており、優れた技術を持つ中小企業も数多く活動しています。たくましい中小企業の厚みを増し、その健全な発展のための環境を整備してゆくことは、日本経済が継続的に発展を続けていくために必要不可欠なことです。それにもかかわらず、「中小企業白書」(2006年版)によれば、「年間廃業社数29万社のうち、約7万社が後継者がいないことを理由に廃業している」とのことです。経済産業省では中小企業の事業承継の円滑化は、事業の継続・発展を通じて地域経済の活力を維持し、我が国経済の基盤である中小企業の雇用を確保するなどの観点から、極めて重要な課題であると今国会に提出しています。われわれ中小企業の活性化と事業存続のために、やっと国も本格的に動き始めた感じがします。この機会に、これからの時代を生き抜くために、キャッシュフロー経営(ROA)を目指し、①月次決算を早く正確に行い、②売掛債権の中身も再度チェックし、③棚卸は毎月きちんとし、その結果としての損益計算書を見て利益を高める努力は当然として、資産を削り、総資産回転率をよくする努力もより大事になってきています。予算と実績等や総資産の回転率を検討する経営会議の場を意識して作ることが求められています。

税理士 大津留廣和

経済発展の鍵

情報ネットワーク2008年5月表紙より

戦後50年間、日本がGDP(国民総生産)で示されるフローの経済価値を増加させることばかり腐心してきたその陰で、大きな金融資産が蓄積され、いまでは家計の持つ金融資産はGDPの3倍近い1,500兆円に達している。
気がついてみれば、日本はストックの有効活用によって繁栄する経済に脱皮したのである。その意味では、1990年代は決して失われた10年ではなかった。フローの生産拡大重視からストックの有効活用重視への発想の転換こそが、21世紀日本の経済的な繁栄の鍵を握っていると言えよう。
 言い換えれば、日本経済の再生は政府や銀行ではなく、国民一人一人が持てる金融資産をどのように運用し、何に投資するかにかかっている。あたかも国民が一人一票制に基づく選挙を通じて政治に参加するように、持てる金融資産を経済に投入することを通じて価値創造に参画するのである。自分の責任において持てる金融資産を最善と思われる形で運用することは、経済民主主義社会における国民の権利であり、義務であると言ってもいい

(株式投資入門 井手正介 著 日本経済新聞出版社より


上記の文書を読んでまさに同感だと思いました。
もうそろそろ私達も評論家ではなく当事者意識を持ち、自分のストックした財産を個人も法人ももう一度見直し、価値創造のためにリスクを取りに行く時期が間近に来ている感じがします。
10年間複利で運用した時の資産の増え方は、3%運用では34%、10%運用では159%になります。これが20年間では3%運用で81%、10%運用では573%にもなります。0.25%の預金に置いておくだけでは、いくら複利で運用してもたいした額にはなりません。なお将来のインフレにも対応できないでしょう。
「自分の責任において持てる金融資産を最善と思われる形で運用すること」を考えてみたいものです。

税理士 大津留廣和

大きな金融資産を持ちながら「老後が心配」

情報ネットワーク2008年4月表紙より

日本人が死ぬまで貯蓄を続ける理由には、3つの理由が考えられる。一つは漠然とした経済的な不安、二つ目はお金の使い方を考えていないこと、そして三つ目はその根本にあるライフプランの欠如である。日本人の過剰なまでの貯蓄好きは、実はお金に対して「何も考えていない」結果であり、換言すればお金に対して「不真面目」であるがゆえに生じる現象である。 資本主義経済、自由主義経済の国では、資産があれば運用し、さらに資産を増やそうと考えるのが普通である。そして資産は貯め込むだけでなく、人生を謳歌するために使う。それが世界の常識的な考え方だ。

(大前流 心理経済学 大前研一著 講談社より)


会社経営において、今経営者が行うことは売上や利益以上にバランスシートの充実に努めることです。売掛債権や在庫等の資産をきちんと管理することが最終的に利益につながってきます。
個人においても自分の資産をきちんと把握することや運用をきちんと考えることが人生を謳歌できるようになる出発点です。
世の中、アメリカのサブプライムローン等で相場が乱高下しているため不安心理が充満していますが、逆に今の時期は資産運用の勉強を始めるには良いタイミングかもしれません。日本では「資産運用」というとすぐ投資のことのように考えますが、本当はそれだけではなく「人生の一回性」、一度しかない人生を健康的に元気で楽しく、やりたいことをするために、また世の中の役に立つ充実した人生を追求するために必要なことだと思います。
私は資産運用の目的は収入を効率よく運用して、不要な借金をすることなく、自分のゴールを見据えて、やりたいことのすべてをよりたくさん達成していくためのものだと考えています。


税理士 大津留廣和

大きな変化

情報ネットワーク2008年3月表紙より

平成20年は年初から日経ダウが下げ続き最後の2日間で約1,400円近くも下がるセーリングクライマックスがおきました。お金が日本から急速に無くなっている感じがします。
東証1部市場の時価総額は平成19年2月26日に589兆5720億円あったものが、平成20年1月22日には398兆7739億円まで下がってしまいました。
この1年間でなんと190兆7981億円、率にして32.36%下がったことになります。ものすごい額です。この結果世の中、貯蓄から投資へという機運が出てきて、やっとの思いで預金から投資信託等を買った人のほとんどの人が損を出していることでしょう。リスク商品を買うということのむずかしさが出た感じがします。
だからといって低金利の預金においていればいいということではなく、将来に対する年金問題への不安などに対応するために、今こそ投資を真剣に考える時期が来たと思います。
他人に任せるのではなく、大事な財産を守るため、仕事と同じくらい真剣に勉強し、実践をすることが、結果仕事にも将来の生活にもプラスに働くでしょう。
年初からの株式市場の暴落や為替の円高傾向はまさに私達に現状に甘んじていて、何とかなるという気持ちをはやく捨て、いまある経済資源を有効に活用し、自分が目指すことを試み、行動することを催促しているように感じてなりません。


税理士 大津留廣和

「自分」を繁栄させるバンカー精神

情報ネットワーク2008年2月表紙より

成長の可能性を秘めた企業に投資して、社会の発展に貢献するのが本来のバンカーの使命であるように、個人においても、社会に役立つ有用かつ有徳な人材になっていくために、自分自身に資金を投入するいわゆる「自己投資」を考えるべきでしょう。
まずは「消費」として考えがちな自分のお金の使い途を、さらなる価値を生み出す「投資」として考えられないかと意識を切り替えることが大切です。
具体的には、自らの知識や教養に磨きをかけるべく、さまざまな分野の良書を読むこと、あるいは「価値ある」と思われる各種のセミナーや講演会などに参加することをお勧めします。精神的な幸福感のみならず、そうして磨き上げた自分の価値は将来、ビジネスチャンスを拡大することにも役立ち、経済的にも大きな利益をもたらすでしょう。

(史上最強の経済大国 日本は買いだ 「黄金の40年」が始まった 佐々木英信 著より)

平成20年の初頭に際し思うことは、20世紀は一所懸命に働いた時代でした。21世紀は給料の10%、理想は給料の15%ぐらいを懸命に貯蓄し、そのお金を投資(①自己投資②資産運用等)を行うことにより、思い切り自分らしく生きる時代かもしれません。


税理士 大津留廣和

時は金なり

情報ネットワーク2008年1月表紙より

「時は金なり」の意味は「時間はお金のようなもの」という意味です。
時間はお金と同じように、限られた資源であり、管理が必要であるという意味なのです。
たとえば、お金の投資先として、Aという選択と、Bという選択があります。あなたは、そのどちらかを選択しなければなりません。
Aに投資すると、Bには投資できません。その逆も然りです。どちらかを選んでも、どちらかを諦めなくてはいけません。
時間についても、それは同じです。時間は「過ごす」ものではありません。「投資する」ものです。あなたは時間を何らかの行動に投資します。それは、人生の目的に近づく行動となる場合もあれば、反対に目的から遠ざけてしまう場合もあります。
それぞれの時間の投資には、「機会費用」がかかります。すなわち、1つの行動を選ぶことによって、別の機会を失うわけです。
時間は、究極の限られた資源です。テレビの前で過ごす1時間は、パソコンの前で本を書いて過ごす1時間、あるいは息子や娘といっしょに、よりよい親子関係を築くために過ごす1時間を奪ってしまいます。ただし、時間がお金とは決定的に異なる点が1つだけあります。お金はためることができますが、時間をためることはできません。

時間は一度過ぎてしまえば、もう二度と取り戻すことができないのです。残された選択肢は、今後はもっと賢く時間を投資する、ということだけです。賢く投資された時間は、複利に似ています。毎日の少しずつの積み重ねが、やがて大きな実りをもたらし、素晴らしい人生へと結び付くのです。

それは、お客様の要求を満たすことによってのみ手に入れることができるのであって、他にいかなる手段によっても手に入れることは不可能なのである。

今月のレポートは上記の文書が載っている「億万長者入門 ロバート・アレン著 フォレスト出版」の紹介をさせていただきます。一度読まれることをお薦めします。


税理士 大津留廣和