おおつるレポート(2006年)

貸借対照表のわかる社長は凄い

情報ネットワーク2006年12月表紙より

日頃、いろいろなタイプの経営者とお会いする機会があります。
貸借対照表をしっかり理解している社長は、本当に凄いと思います。
貸借対照表を理解することによって、事業戦略ができることを知っているからです。
経営者は当然売上と利益に関心がありますが、貸借対照表をしっかり把握しようとしている経営者は少ない感じがします。

貸借対照表の資産の項目は、企業の規模に関わらず、すべて社長の意思で決定出来ます。
定期預金にすること・手形で受け取ること・棚卸資産で残すこと・土地や建物に投資すること・有価証券に投資することもすべて社長の一存で出来ます。
負債の項目もしかりです。
支払いを買掛金や支払手形にすること・短期借入金や長期借入金で資金を調達すること・少入数私募債で資金を調達することもすべて社長の一存で出来ます。

ゆえに会社の業績が良くなった時、利益だけを見ていて貸借対照表の意味がわからない経営者の方は、よく家賃が年間500万円支払っていると、つい勿体ないと思い、いらない土地やゴルフの会員権を購入しようとします。
しかし、冷静に考えると、家賃の500万円は全額経費処理できますが、土地等に投資すると、借入金の元本返済額は経費ではないのみならず利益の中からキャッシュが出ていくので、その分だけキャッシュが不足します。

これからの時代、利益の金額よりもキャッシュがどうなるかを見据えて経営する時代に入った気がします。社長は貸借対照表を理解し、事業戦略を企画することにより、キャッシュフロー経営を築いていくことが大切です。


税理士 大津留廣和

面白いほど成功するツキの大原則

情報ネットワーク2006年11月表紙より

ツキの大原則(西田文郎著 現在書林)に書かれていた文章が非常に印象深かったので整理してみました。

(つきのある人)

  • ツキのある人ほど、自分に味方する不思議な力を感じている
  • ツキのある人間は、すでに充分自分を変えてきたのに、まだ変われる、もっと変われると思い込み、常に自分を変革し続けていく
  • ツイている人間を見て、「あんなふうになりたい」「凄い」と思う=ツイている人間になれる要素がある
  • 短所は、それに自信を持てば、他人の目に長所として映る
  • ツイている人間は、知らないうちにツキの暗示を自分にかけている
  • 目標意識が人生を決める

(つきのない人)

  • 何でも理屈で割り切ろうとする理屈人間は、絶対にツキを逃す
  • ツイていない人間は、自分を変える必要があるにもかかわらず、自分は変われない、変われないと思い込み、そのうち変わらなくてもいいとあきらめてしまう
  • ツイている人間を見て「あそこまでやらなくても」とか「しんどそうだ」「イヤなやつだな」と思う=一生ツキから見放される要素がある
  • 自信のある長所は、他入の目には必ず短所となって映る
  • ツイていない人間は、知らないうちにツキがなくなる暗示を自分にかけている
  • 何となく流され、気がつくと入生が決まっている

そして「現状を超えるにはどうしたらいいか」と考え続ける人だけが成功する。
ツキとは何か 一 「出会い」である。
運とは何か 一 ツキの持続である。
人の縁とは不思議なものです。ほんの小さな出会い(人の縁)からツキが始まる気がします。


税理士 大津留廣和

リスクの時代(リスク管理の時代)

情報ネットワーク2006年10月表紙より

個人にとってのリスク管理とは自分自身という資産や自分自身が生み出したお金という資産の管理に他なりません。
私たちは自分自身を成長させその価値を高めていく努力をする必要があります。
その価値とは将来どのくらいのキャッシュフロー(収入)を生み出すことができるかということです。
そして、その自分自身が生み出したお金も同時に成長させていく必要があります。
もちろん、将来のキャッシュフローの源泉である自分自身の成長は最も重要ですが、同時に生み出されたお金をいかに成長させるかどうかもきわめて重要です。
それ次第で、同じ収入でも生涯で使えるお金の額は大きく差がついてしまいます。
リスクの時代、頼れるのは自分自身と自分のお金です。自分のお金も成長させることができます。
しかし、成長させるためには積極的に管理することが必要です。

(資産運用、投資のプロはこう考えている 加藤康之著 東洋経済新報社)

それゆえ個入も法入も今まで以上にバランスシート(貸借対照表)をしっかり管理し、そこにある資産、負債をできるだけ幅広く把握していく努力が必要です。
そしてそれができた段階で、自分の成長にあわせて、財産を形成するためのポートフォリオ(分散投資)を構築する時代に入って来た感じがします。

税理士 大津留廣和

電子申告について

情報ネットワーク2006年9月表紙より

2001年のe-Japan戦略から、日本政府も本格的にIT化、電子政府化を推し進めています。
5年以内に世界最先端のIT国家を目指すため、具体策をまとめ上げようというe-Japan重点計画が提示され、「世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成」「教育・学習の振興と人材の育成」「電子商取引などの促進」「行政・公共分野の情報化」「高度情報通信ネットワークの安全性と信頼性の確保」という5分野の重点政策を柱に、政府はe-Japanの実現を目指しています。

これは、ブロードバンドを核に通信基盤の充実をはかり、民間、政府が一体となって各種通信、商取引、行政内部の電子化、官民接点のオンライン化は図るという壮大な構想であります。
この政策の一環として、2004年6月1日から電子申告がスタートし、申告書を紙で提出するかわりに、電子データの形でネットで申告手続きをすることができるようになりました。
当事務所も試験的に2年前から私自身の申告と一部の関与先にお願いし、電子申告を実践してきました。

2年間の試行錯誤の結果、問題もなく、スムーズに電子申告ができる体制が出来上がりました。
新たな試みをするとき、人間はどうしても、後ろ向きに考えがちです。
一歩踏み出す勇気があると意外と簡単にできるものだということを今回電子申告を通じて発見することができました。
今後は積極的に電子申告を推進していくつもりですので、ご協力していただければ幸いです。

(電子申告に対する問い合わせ www.e-tax.nta.go.jp

税理士 大津留廣和

企業家が変身をすべき時を知らせるチェックポイント

情報ネットワーク2006年8月表紙より

事業を起業してある程度の段階に来ると、経営者としての役割が変わらなければならない「役割変化の気づき」を示してくれる赤信号がでます。

  • 一日が短すぎる
  • 物理的にも心理的にも、すべてを自分一人ですることが不可能だと思い始めた。
  • 相談したいと言ってくる人は多いが、なかなか時間が取れないのが悩みだ。
  • 社内のみんなが「モグラたたき」に追われている。
  • 成長のチャンスはたくさん見えるが、どれを選べばいいいのか分からない。
  • すべてのリスクを一身に背負っているので、かなりプレッシャーを感じるようになった。

経営者がすべてのことを行ってはいけないという事実をはやく受け入れることが変身するスタートになります。
経営者の仕事の一部を入に任せることができなければ、会社は経営者の器以上には大きく成長できないものです。

そして重要な意思決定を先延ばしにしてはなりません。
あらゆる入から情報を集め、それに基づいて戦略上の重要な意思決定をするのは、あくまで経営者自身でなければなりません。
スピードを優先し、さらに自分の奉じる価値について妥協してはなりません。

経営者はビジネスの動脈というべき鍵となる部分、キャッシュフロー、人事、ビジョンヘのねばり、そして最も重要なことですが、事業プランといったことがらに集中するべきものです。そして経営者は日常業務ではなく、ビジネスの大きな将来像や夢を描くことに時間を使うように意識したいものです。

(あなたが伸びれば、会社も伸びるキャサリン・力トリン&ジェイナ・マシューズ著より)

税理士 大津留廣和

結果重視の意識を養うために

情報ネットワーク2006年7月表紙より

結果重視の意識を養うため、次の3つの質問を一日に何度も自分に問いかけてみて下さい。
1、いま私がやっている中で、いちばん価値のある仕事は何だろう?
あなたがやっていることのうち、あなたの仕事全体に、またあなたの会社に、最も大きく貢献しているのはどんなことだろう。
そこにこそ、時間とエネルギーを注ぎこむべきです。
2、私にできること、私にしかできないことのうち、ぎちんとこなせば会社に大きく貢献できる仕事は何だろう?
結果重視の意識を自分につけるには一番の質問です。
この質問に対するあなたの答えは、あたなにしかできない仕事、もしあなたがやらなければ、そのままになってしまう仕事です。
だれもあなたの代わりにその仕事をすることはできません。やってもくれません。
3、いま何をすれば、いちばん時間が有効につかえるだろう?
毎日、毎時間、どの瞬間を取っても「いまはこれをやるのが一番時間の有効利用になる」と言えることをやらなくてはなりません。
そうすれば生産性も、効率も、業績も上がります。
その瞬間にできるほかのどんな仕事をするよりも、大きな成果が得られるはずです。

(10年かかるところを2年でできるブライアン・トレーシー著より)

上記の文書ひとつを取っても、経営者にとって本を読むと言う事は色々なヒントを得られます。
業界の本のみならず、経営に関する本、考え方に関する本、歴史に関する本などなんでもいいと思います。
経営者が本を読んだとき、またその本を時間が経ってから読んだときなど、不思議と違う気づきを与えてくれます。
大事なことは会社の将来と実力を決めるのは経営者自身ですから。

税理士 大津留廣和

中小企業における直接金融

情報ネットワーク2006年6月表紙より

従来は、社債発行は株式会社に限定されていました。
新会社法では、株式会社に加えて、特例有限会社、合名会社、合資会社又は合同会社も発行できるようになりました。
そこで少人数私募債は中小企業にとっては新たな資金調達手段として活用できます。
条件として、社債募集の相手方は50人未満である縁故者であること、社債発行価格が1億円未満であることなどの条件がありますがメリットとしては、自己資本のように安心して使えること、物的担保を提供しなくても社債募集が可能なことや決算書等の公開義務がないため、企業機密が防衛できます。
そして、資金収支としてみると、例えば1,500万円を間接金融で5年返済で借りた場合、月の元本返済額は25万円になり1年間では300万円になります。
法人税等の実行税率を30%としてみると経常利益が500万円出ていて収支は50万円になります。
もし少人数私募債という直接金融で資金調達をしたら、経常利益が500万円出ていたら、手許に資金が350万円残ります。
このキャッシュフローの蓄積の差は約7倍になります。
これからの時代は利益がいくらよりキャッシュフローがいくら残るかを意識して経営することが大事な時代です。
これから我々中小企業の経営者は資金収支をトコトン意識し、直接金融の可能性とキャッシュフロー経営を追求して行きましょう。

税理士 大津留廣和

新会社法創設

情報ネットワーク2006年5月表紙より

最近の社会経済情勢の変化への対応等の観点から商法は平成9年以降めまぐるしく改正されてきました。
その結果「実態重視・現実重視」の改正がおこなわれました。

そして今回商法第2編、有限会社法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律等の各規定を現代的な表記に改めた上で分かりやすく再編成し、新たな法典(会社法)が平成18年5月から施行されました。
従来の商法改正の多くは公開会社を対象にしたものが中心でした。
今回の改正は、私達中小企業の実態と法規制とが乖離していた状況を変革し、法規制を実態にあわせることを目指しています。
商法がやっと中小企業の事態を認めてくれたということかもしれません。
新会社法のもとでは
 1.定款自治という考え方
 2.資金調達方法が拡充
 3.事業承継における活用
など検討しなければならないことが多くひそんでいます。
会社法をいかに有効に活用できるかが、われわれ中小企業の経営発展のためにも問われています。

当事務所としては今回の新会社法の改正は平成元年の消費税導入以来の影響を世の中(皆様方の経営)に与えるものであると判断していますので、当事務所主催の経営研究会や毎月の巡回監査等で随時報告させていただきます。
今回の法の趣旨(我々中小企業の規制を撤廃し、元気に経営してもらう体制を築いてほしい)をよく理解し、本当に強いキャッシュフロー経営を目指していきましょう。

税理士 大津留廣和

情報収集や情報発信の重要性

情報ネットワーク2006年4月表紙より

あなたは最近の3年間で何かが変わりましたか?
この3年間で、自分自身の変化を感じますか。
世の中は知らず知らずのうちに確実に動いています。

もし変化を感じないと思った方は、一度立ち止まってみましょう。
この間はほとんど成長していないのか、逆に新たに何かにチャレンジしているのかどうかをきちんと見据えて見る必要があります。
そうすると世の中の動きに自分自身が振り回されいるのかそれともきちんと見据えているかがわかります。

もし自分自身に何も変わっていないと感じるなら、もっと自己啓発やチャレンジが必要です。
ついこの間まで、世の中お金が回らなくて、悲壮感が漂っていたかと思うと、今現在はなんとなく、お金が回りはじめて元気がでている感じがします。

時代の変化や動き(原油価格の動きやアメリカ、日本の金利動向、業界の動き、お客様の二一ズ等)に関心を持ち、情報収集や情報発信により熱心になる時代かもしれません。人間は情報が閉ざされると成長が止まり、正しい情報を得つづけると益々前向きに行動が続けられるそうです。時代を楽しく見据え続けていきましょう。

税理士 大津留廣和

投資について考える

情報ネットワーク2006年3月表紙より

最近インターネットを使った投資家や株式投資信託等の保有者が増えています。
ライブドアショックなどを通じて感じることは、投資とは何かということです。世の中は低金利ゆえに貯蓄から投資に確実にお金が移行しているように感じます。
しかし、単なるお金が儲かればいいのか、これは経営にも通じる大事なことです。

何の目的で当社は事業を遂行するのかがその会社の存在を決めます。
投資も何の目的を持ってするかですべてが決まる感じがします。

経営者の仕事とは意思決定だと思います。
どういう場面でどういう決断をするかで会社の業績が決まります。
投資も目的がしっかりしていれば、たとえ暴落があっても、きちんとした対応ができるはずです。
日本の資本主義の発展のために、好むと好まないにもかかわらず、今後株式投資等を行う人が多くなっていくと思いますが、再度、自分の持っているお金と時間を投資して一番いいことは、株式投資や不動産投資ではなく、自分自身への投資や自分自身への健康投資だということを再発見したいものです。

税理士 大津留廣和

新しい習慣を身につける

情報ネットワーク2006年2月表紙より

「USAトゥデイ」が一年前に新年の誓いを立てた人たちに対して行った調査の結果によると、新年に誓いを立てても、紙などに書きとめなかった人の計画実行率は、わずか4%にすぎなかったという。
しかし、書きとめた場合は、なんと46%の人が計画をやりとげているそうです。この成功率は、10倍以上です。

目標を紙に書き、何でもいいから一歩行動をし始めるという習慣が成功につながるようです。
ほとんどの人は目標をかかげても、トライを一回もしないであきらめてしまうそうです。だから、紙に目標を書くことにより、一回はトライをすることが新しい習慣を身につける第一歩になります。
目標へ向かって自分の背中を押してくれるような行為を日課にする。
毎朝早起きして、一日の予定を立てたのちに、何でもいいから、自分の目標達成に向けて一歩前進させてくれるようなことをやる習慣をつけることから始めたいものです。

(大富豪になる人の小さな習慣術から一部抜粋)

税理士 大津留廣和

世界を変えるお金の使い方

情報ネットワーク2006年1月表紙より

あなたがお金を使う瞬間、それはあなたが世界を動かしている瞬間でもあります。

今あなたのお財布に入っているお金は、社会のシステムであると同時にあなたの意思であり、選択であり、それを伝える道具でもあります。お金は万能ではなく、お金でなんでも解決できるはずもないけれど、使い方によっては、世界を変える原動力になるのです。
例えば、あなたの100円を、砂漠緑化のための苗木にする。
例えば、あなたの500円を、識字教育のための教科書にする。
苗木が買えたとしても、それを運び、植えて育てる人がいなければ、砂漠は緑の大地にはならないし、教科書を提供できたとしても、そこに学べる環境があり、教える人がいなければ、子どもたちの未来は変わらない。
でも、あなたのお金をきっかけに一人ひとりのアクションが積み重なれば、大きな変化を起こすことができる。
どんな未来を歩みたいと思い、どのような動きに目を向け、どう参加するか。
何を選ぴ、何を買い、何を支えるか。
あなたの意思とあなたのお金が、世界を変えていく。

(世界を変えるお金の使い方 責任編集 山本良一様より引用)

税理士 大津留廣和