おおつるレポート(2022年)

ワークとライフ ~公私の垣根を越えて、ビジネスモデルを追求する~

もともと日本の社会には、さまざまな矛盾や問題点がありました。それがコロナ禍で一気にふき出したことで、今後はその矛盾を無視できなくなり、大きな変化が起きていくでしょう。

コロナ禍によってテレワークの導入が進んだとき、受け入れがたいと感じた人が少なくなかったのは、公私が混然一体となった新たな世界への抵抗感によるものではないかと思います。

しかし今後、場所を問わず仕事をする人が増えることで、公と私の境目は必然的に薄れていくことになりそうです。場所を問わず公私混合で働きながら暮らす場合、仕事のパフォーマンスをしっかり想定する必要があります。これまでのように「会社にいる時間=仕事をした時間」と見なすやり方では何も測定できなくなりますから、「公私混合」と「仕事の成果にフォーカスして評価する仕組み」はセットになるでしょう。

『おいしいニッポン投資のプロが読む2040年のビジネス』藤野英人著 日本経済新聞出版より一部引用


これからの20年の生き方は「公私混合」が重要なキーワードになるのではないかと思っています。休みの日だろうと旅行中だろうと関係なく、発見やひらめきがあったらすぐに仕事につなげたいと思っています。

例えば、旅行中に5つ星ホテルに泊まると、そこで見えることだってたくさんあります。このクオリティだからこの売り上げが上がるとか、表向きはこのホテルがオペレーションをしているけれど、アドバイスしている人は誰かなど。

成功している会社のビジネスモデルやお客様に対する取り組みを参考にしたいものです。

理由は、これからの時代においては今まで以上に、粗利の高さ、特に一人当たりの粗利益額の高さが中小企業の経営において重要な指標となるからです。

粗利益の改善の必要性が中小企業に待ったなしで訪れてくる感じがしてなりません。その為、安易な安売りは止めるべきです。「粗利改善の為の工夫を凝らしつつ、お客様の問題解決を行い徹底した役立ちを提供するビジネスを行うこと」が今まで以上に必要だと感じています。


(例)ドラッグストアは、食用品や日常雑貨については低い粗利で販売しているものの、薬や化粧品については高い粗利で販売しており、粗利の低い日用品等でお客様へ役立ちを提供することで店頭への訪問機会を創出し、粗利の高い薬や化粧品の購入機会を創出している。

税理士 大津留廣和

人生を楽しむ技術(年代別でやりたいこと)

『40代・50代』
やっておくといいと思うこと・実際にやってよかったこと
①貯蓄・資産形成 ②健康増進 ③パートナーを大事にする 等 

やめておけばよかったと思うこと・実際やめてよかったこと
①お金のムダ使い ②運動不足 ③不摂生な食生活
それ以外に家族に対する無関心な態度や仕事第一主義 等

『60代・70代』
やっておくといいと思うこと・実際にやってよかったこと
①健康増進・定期的な健康診断の受診
②仕事を続けて収入を得る ③旅行
それ以外にかかりつけ医をつくる。筋トレなど体力つくり。
子どもや孫ともコミュニケーション 等

やめておけばよかったと思うこと・実際やめてよかったこと
①現役時代に対する執着 ②保険への新規加入 ③定年後の引きこもり
それ以外にパートナーへの過度な依存、無計画なリフォーム、テレビショッピング 等

この記事がPRESIDENT(2022年11.18号)の雑誌に載っていました。
面白い特集だったので思わずノートに書き写しました。
「年をとるにつれて時間が進むスピードが速くなり、時間は貴重な財産であるとますます思うようになっていくこと」を、人生の大先輩達は改めて教えてくれています。
だからこそ、人生後半の戦略や設計に思いを巡らし始めたいものです。
一度しかない人生を「どう生きるか」、重たいテーマですが、今回のコロナ禍を経験し、仕事に対する取り組みや自分自身の人生後半の時間の使い方を再考したいとつくづく思います。
「“生きる”とは、“命”とは、“あなたの使える時間”のこと」です。誰もが自分の「使える時間」には限りがあります。それゆえ将来やりたいと思っていることがあるのであれば、今から着手するべきです。例えば事業承継や成長戦略について考えている経営者であれば、将来を待たず、今からその準備を始めることが大切だと思います。

Story behind the Story(ウォルト・ディズニー氏の有名な言葉)
Get in(飛び込め!)

税理士 大津留廣和

私たちに欠けているのは、資本主義を理解するための教育です。

貯蓄は収入が低い時期こそ簡単にできるものです。
自分の収入だけで裕福になれる人はいません。富は持っている資金から生まれます。「たくさん稼げばすべてが良くなる」と思い込んでいる人は多くいますが、収入が増えれば生活水準が上がり、持っているお金に見合って出費が増えます。さらに言うと、「貯蓄しない人が持つことになるのは負債だけ」というのが事実です。
あわせて「多くの人の預金額が少なすぎる」という現実があります。この現実に負けない為には、手取り収入の10%の貯蓄を今すぐ始めることが大切です。

『Financial Freedom』ボード・シェーファー著 青春出版社より一部引用


貯蓄をする習慣は若ければ若いほど効果を発揮できます。理由は「複利の魔術」の効果を得られるからです。私はこの効果が資本主義の大切な教えの一つだと常日頃から思っています。「稼ぐ能力」と「貯める能力」はそもそも違う能力です。ゆえに「手取り収入の10%を貯蓄に振り分け、その金額を貯める習慣」も資本主義社会においては大切なことなのです。

特に若い方は、この貯蓄額を利用して「自分自身に投資すること」と「金融資産を働かせる為、投資をすること」を始めてみませんか。年齢と共に蓄積した蓄えを元手に、更なる自己投資や金融資産を働かせる能力の磨き上げを行っていきましょう。そして将来、収入が増えたならば、その増えた手取り分の半分を同じように貯蓄する習慣を身につけましょう。それが、資本主義社会を理解するための第一歩になると思います。

また、「常に学び、成長する」ために、読書や人との出会い等を通じてご自身の考え方や能力を知り、併せてご自身の資産総額(財産総額・キャッシュ割合等の比率)を毎月・毎年把握する仕組みを作りたいものです。

私が思うに、資本主義社会を理解するとは、自分が本当にしたいこと、一番大切なことを意識することであり、その意識したことを行動していくことです。私は「貯蓄する習慣を維持していくこと」は、「経済的自由と人生の幸せを同時に手に入れること」でもあり、併せて自分自身の価値観に基づいて行動することにより、「人生をコントロールしていくこと」のように思っています。

税理士 大津留廣和

ケーキを半分に分けるには?

『問題』

AさんとBさんの前にケーキが一つある。二人が納得するようにケーキを二つに分けたい。さて、どのように分けたらよいだろうか。

さて、あなたはこのクイズをどのように考えただろうか。なにが問題にされているだろうか。もしかすると、「どうしたら正確に二等分できるか」を問われていると考えたのではないだろうか。そのために、半分に切るにはどこにナイフを入れたらいいかと定規で測ったり、ケーキの上にあるイチゴの数や大きさ、クリームの量を考えたり、どうしたら上手に切れるだろうと考えたり・・・。ケーキを二等分にするのはなかなか大変だ。正確に分けるのはむずかしいように思う。だが、このクイズは正確に二等分することが問題ではないのである。大切なのは「二人が納得するように」という部分だ。厳密に二等分にされていなくてもいい。どうしたら納得できるか、が問題なのだ。

『正解』

Aさんができるだけ半分になるように切り分け、Bさんに好きなほうを選ばせる、というものだ。「どうしたら正確に二等分できるか」を問題と考えると解決するのが大変だが、「どうしたら納得できるか」を問題と考えると解決策を実行するのはとても簡単だ。これとよく似ているのが遺産相続だろう。遺産相続がもめることが多いため、相続ならぬ争族といわれるほどだ。これも「どうしたら平等に遺産を分割できるか」を問題にすると、解決するのがむずかしくなる。遺産相続の本当の問題は、「いかに平等に分けるか」ではなく、「相続人がいかに納得するか」なのだ。

『論点思考』内田和成著 東洋経済新報社より一部引用


相続関係の仕事について、当事務所設立から37年の間にかなりの件数を担当させていただきました。その中で争族になった仕事は今までほとんどなく、現在まで仕事をさせていただいています。遺産相続の本当の問題は、「いかに平等に分けるか」ではなく、「相続人がいかに納得するか」にあります。別の視点から考えると、常日頃から家族間のコミュニケーションが取れている家かどうかが、遺産相続においては一番大切な感じがしています。相続の話においては、常日頃からのコミュニケーションが取れていない状態で仮に相続人のお一人にだけ財産内容の説明をし、話をその方から他の相続人に伝える状況になってしまうと、話の内容が伝言ゲームのようになってしまうのです。その結果、内容がうまく伝わらないで相続人の間で誤解が生まれ、事務所に対しての不信感を抱かれてしまう恐れがあります。

相続の仕事は以下の「6つの大事な視点」を常に意識し、「相続人の皆様にいかに納得していただけるかを考えること」、そして「財産を引き継いだ皆様の将来設計・お金の管理等を真摯に一緒に考え続けること」だと思っています。                                      

税理士 大津留廣和

「6つの大事な視点」

① 配偶者の税額軽減の規定の適用      ② 小規模宅地等の評価減の規定の適用

③ 相続財産を譲渡した場合の譲渡所得の特例 ④ 共有の持分にはしない

⑤ 相続税の納税を一番先に考える      ⑥ 相続後の生活設計を考える


お金のスキルとは「投資のスキル」ではない ~お金とはそもそも何か~

お金は人生を豊かにする道具であるということです。物と交換し、自分の暮らしを豊かにする手段です。しかし言い換えれば道具でしかない。
iPhoneを開発したあのスティーブ・ジョブズもこんな言葉を残しています。「墓場で一番の金持ちになることは、私にとって重要ではない。ただ、毎日眠るときに、我々は素晴らしいことをしたと言えることが重要だ」と。
お金に振り回されてしまうと目的を見失います。「お金持ちになりたい」と思いすぎて、お金を増やすことだけが目的となってしまうのです。そうではなく、お金を使って自分がたどり着きたい目的地に行くことが重要です。お金はそのためのガソリンです。
どの時代であっても、人はより豊かな人生を手に入れるためにお金と付き合ってきました。ここを理解せずにお金を見てしまうと、足元の変化や数値ばかりに気を取られ、大事なことを見落とします。

『未来のお金の稼ぎ方』児玉隆洋著 幻冬舎より一部引用

日本で暮らす私たちは、これから史上初の超少子高齢化、超人口減少という時代を生きていかなくてはなりません。医療が発達した現在において、生涯お金に困らないで生きていくために、自分が80歳、100歳まで生きてもお金に心配しないで生活できることを前提に考える時代が来た感じがします。その為、「お金のスキル」を鍛え、備えていくことの大切さを改めて痛感しています。お金のスキルを制するものは人生を制すると言えるかもしれません。
併せて、ここで強く認識していただきたいのは、「人生はただの一度限り」だということです。誰にとっても当たり前の、この「一度限り」ということを私たちは往々にして忘れる、忘れてしまっているかのように振る舞っているように思えてなりません。
「お金のスキル」と「人生の生き方(事業承継や相続対策も含めて)」を一度整理し、紙に書き出すとともに、「お金を使って自分がたどり着きたい目的地を再確認し、目的地に行くこと」の重要性を意識してみたいものです。
それと自分自身に対して、「次世代から憧れられる生き方をしていますか?」と問いたいものです。

税理士 大津留廣和

切所(せっしょ)を切り拓く

「切所」とは「山道での難所」を意味する言葉である。それが転じて、「生死を決するような戦い」や「仕事上の失敗」あるいは「病気」など、いわゆる人生の危機を意味する言葉として使われるようになったと思われる。誰でも長い一生のうちに2、3回、場合によっては4回ぐらい、いわば人生の危機というか、ギリギリのところを超えないとその先に行けないという切所が訪れるものである。大事なことは、その切所にぶつかったときにどういう行動をとるかだ。それによって、その後の人生、あるいは経営が大きく変わってしまう。自分に降りかかってきたものが自分にとっての切所だと、まず自覚できるかが大きな問題である。しかし、ひとつ言えることは、切所に立ち入ったときに、そこから逃げれば、だいたいその人はそれで終わりというか、その先はあまり展望がないことになる。どちらかというと、ジリ貧になっていく場合が多い。反対に、切所から逃げずに、それに立ち向かうと、その先の展望が開けてくるのである。要するに、切所から逃げずに立ち向かって、なんとか凌ぐことができれば、人生も変わるし、経営も変わってくる。当然のことに、人間もできてくる。

『負けない決断』大竹眞一著 Mill house より一部引用

予期している、しないにかかわらず、バブル崩壊、ライブドアショック、リーマンショック、チャイナショック、コロナショック、ウクライナ危機等、色々な変化が突如私達の目の前に現れます。
その際、この危機に対して経営者がどう対応するのか、どう逃げないで立ち向かうかが、その後の会社の運命を決めると言っても良いと思います。コロナ明けの世の中は、会社の業績も個人の収入も二極化しそうな感じがしています。頑張れば経営者の経営力次第で面白い経営ができそうです。世の中頑張らない人が多くなった感じがしますので、若くてやる気があったら、面白い経営ができる環境にあると思います。逆に年を取ると、今まで当たり前にできたことができなくなります。その為、高齢者になると、コロナをきっかけに人生観が変わり、「自分ができるうちにやっておきたい」というニーズが増えていきます。この視点を考えてビジネスをするのも面白いかもしれません。
今回のコロナ禍における「切所」から逃げずに立ち向かい、働き方やビジネスの仕方の模索や一人当たりの粗利益を上げることの徹底など、様々なことに挑戦していきたいものです。

税理士 大津留廣和

3世代にわたる運用(人生100年時代の運用)~複利効果~

「自分の人生にとって大切なものはなにかをしっかり判断して、効果的にお金を使い、なおかつ楽しく、豊かに暮らす。」
そのことを実践していくために、寿命が伸びていく時代において、老後の資金は大きなテーマです。「何もしなくても不安」「何かしても不安」ではお金から自由になれません。
老後になっても、余裕をもって暮らしていけるだけの資金をつくるには、やはり毎月、こつこつと積立投資をして、時間を味方につけなければなりません。一朝一夕では十分なお金は貯まらないのです。
たとえば毎月1万円を普通預金に積み立てをします。金利が0.025%だとすると90年経っても、運用益は約12万円にしかなりません。しかし良い「ファンドや株式」を毎月1万円ずつ購入し、年7%の複利で運用してみましょう。30年で投資金額は360万円ですが、全体の資産は1,000万円を超えます。これを頑張って60年続けると投資金額は720万円ですが資産は1億円になります。さらにこれを3世代90年続けるとどうなるでしょうか。答えはなんと投資金額1,080万円が7億8000万円になります。複利効果というのは、金額が大きくなるほど右肩上がりにアップするので、ある時点からびっくりするほど増えてしまいます。「コツコツ1万円」でも3世代続ければ、立派な資産家になれるのです。
結果自分がやりたいこと(仕事でも趣味でも)や大切なことだけをして毎日を過ごすことができる体制が出来上がると思っています。私達個人は投資について地道に勉強し続け、良い「ファンドや株式」の投資先を探すことにチャレンジしコツコツ積立をしていきたいものです。
自分にとって十分なお金を確保し、この時代を謳歌したいものですね。
あわせて「本当の投資」とはお金を残すことだけではなく、「先の未来を考え、行動すること」という考え方を2世代・3世代先の孫・曾孫に教えてあげたいものです。

税理士 大津留廣和

『スイス人が教えてくれた「がらくた」ではなく「ヴィンテージ」になれる生き方』
多根幹雄著 主婦の友インフォス情報社より一部引用

経営とはキャッシュフローを積み上げていく作業だ

企業のバリューはキャッシュフローで見る。経営とはキャッシュフローを積み上げる作業だ。キャッシュフローというのは利益と減価償却を足したものである。企業経営者は何のために経営を行うのか、どうすれば企業の繁栄と存続が可能になるのかを考える。日々の企業活動を通じて付加価値が得られ、その結果としてキャッシュフローが積み上げられていく。
言い換えれば経営とはキャッシュフローを積み上げていく作業そのものである。経営の本質はキャッシュを投資して、それに対するリターンをキャッシュフローとして得ていくことである。キャッシュの投資とリターンをできるだけ効率的に行うのが経営であり、経営者の仕事はこの点にこそある。

『あなたが株で勝つための株式投資100の答え』大竹愼一著 フォレスト出版

株式投資と聞くと、投資をしたことがない人ほど何やらリスクの大きさばかりが目につき、リスクが強調されて腰が引ける人が多いと思います。しかし今の時代、次の2つのメリットがあると感じています。
①ビジネスの教科書(キャッシュフロー経営の大切さ)
②人生100年時代のリスク回避(長生きした場合の将来のお金の不安回避)
優秀な経営者は優秀な投資家でもあると言われています。株式投資を通じてビジネスに必要な知識を総合的に高めていくことは、世の中を見る目(インフレリスク等)や自分のビジネスで成功するヒントを得る効果もあると感じています。コロナ禍に目を奪われていましたが、世の中、金利が上がり、金融緩和も終わり、インフレの時代に突入しています。インフレ時代に突入するとするならば、私たちは今まで以上に、「一人当たりの生産性」(上場会社の1人当たり生産性:平均月120万円以上)を意識した行動をしていきたいものです。

税理士 大津留廣和

FCF(フリーキャッシュフロー)とは

企業の本質的価値は会計上の利益よりもキャッシュフローであり、キャッシュフローこそが本当の価値です。このことは非常に重要なことです。
「真実の数値」は、まさにリアルであるキャッシュが表します。
企業が生きていくための価値基準はキャッシュであり、それを「フロー」で計測して経営を進めないと、折角のビジネスチャンスが目の前に来ても掴むことが難しくなります。
日々の企業活動において、昨日稼いだキャッシュは今日へ再投資(複利運用)され、さらに今日稼いだキャッシュは明日へ再投資されていくものだからです。
なお、「富のロールモデルは見つけづらい」と言われています。
具体的には、私たちはその人が買った車や子供の進学先を知ることはできますが、その人の貯蓄額や投資ポートフォリオを目にすることはできません。
それは会社経営でも同じです。キャッシュを生み出す力がどれくらいあるかどうかは、外からはわかりませんが、最も重要な事だと再認識し、経営にあたりたいものです。

税理士 大津留廣和
『真のバリュー投資のための企業価値分析』柳下裕紀著 一般社団法人金融財政事情研究会より一部引用

FCF(フリーキャッシュフロー):税引き後営業利益 + 非現金支出 - 運転資本の増減額
非現金支出:実際にはキャッシュの出入りがない勘定科目(減価償却費、引当金など)
運転資本の増減額:(売掛債権+棚卸資産-買掛債務)の前期からの増減額

高齢化問題はさらに深刻化する

国立社会保障・人口問題研究所の推計(中立推計)によると、2020年と2040年の人口の状況は以下のとおりだ。

  • 総人口は、1億2533万人から1億1092万人へと、0.855倍になる
  • 15歳から64歳人口は、7406万人から5978万人へと、0.807倍になる
  • 65歳以上人口は、3619万人から3921万人へと、1.083倍になる

日本が直面している事態の本質は、生産年齢人口(15歳から64歳人口)の減少率が人口全体の減少率よりも高いことだ。あわせて2040年頃まで高齢者人口は増え続けることです。
「人口ボーナス指数」が減少傾向を示すと、経済成長は鈍化する。世界各国の中で、人口ボーナスが最も顕著な形で現れるのが、日本だ。

『日本が先進国から脱落する日』野口悠紀雄著 プレジデント社より一部引用

日本の株式市場に目を向けると、コロナが収束したとしても厳しい時代を迎えるかのように、日経平均は令和3年9月14日の高値30,795.78円から、令和4年3月9日の最安値24,681.74円まで約20%も下げました。特に今年に入ってからの株式市場の調整は目を見張るものがあります。今までコロナ禍に目を奪われていましたが、アメリカの景気回復からインフレが長期化し、金利が上がり始めたことが原因で、時代が大きく変わろうとしているのかもしれません。もしそうであるならば、景気と金融情勢の行方を注意深く見ていく必要がありそうです。人口ボーナス※1が最も顕著な形で現れる、言うなれば世界の中で最も高齢化が進む日本という国は、人生100年時代を見据えたならば、高齢化社会を一番先に経験できるという意味で物凄くチャンスの国かもしれません。
生き残ることができるのは「変化できる者である」(チャールズ・ダーウィンの言葉※2)ではありませんが、経営者は時代の変わり目に際して、女性と高齢者の労働力と一人当たりの生産性(粗利益)を引き上げる為に、自分の会社の戦略をしっかり練りあげるとともに、金融危機に対する備えをしっかり固めたキャッシュフロー経営をしていきましょう。

税理士 大津留廣和

※1 人口ボーナス(指数):従属人口に対する生産年齢人口の比率
※2 チャールズ・ダーウィンの言葉:「最も強い者」が生き残るのではなく、「最も賢い者」が生き延びるものでもない。唯一、生き残ることが出来るのは「変化できる者」である。

時間という有限リソース

画像:ブロックを渡すイメージ

 私達が平等に持っている「時間」というリソースには限りがあります。それゆえ、「“自分”が働く」ということと「“自分以外”が働く」という2つのことを組み合わせることが不可欠です。
 昔、まだ私が若かった頃は、時間なんていくらでもあると思っていましたし、1週間後に楽しみにしている予定などがあると、1日1日が過ぎるのが本当に遅く感じられたものです。ところが、それから40年近く経った今では、1週間なんてあっという間です。気づくと1年という時間でさえあっという間に過ぎていきます。
 「時間というリソースをどうすれば有効に配分できるのか」について、若いうちからきちんと考えているのといないのでは、50歳以降の人生が大きく変わってしまいます。なぜなら、「自分が働く」にしても、例えば「投資」という技術を使って「自分以外を働かせる」にしても、時間こそがその効果を増幅してくれる変数だからです。時間を使う効果は時の経過とともに、まさに雪だるま式に増大するのです(これをファイナンス用語では「複利効果」と言います)。
 正直なところ、今までは時間というリソースの貴重さに気づくのが60歳過ぎだと、もはや手遅れの印象を持っていました。逆に、時間という限られたリソースをたくさん持っている若い人達は、色々なことにチャレンジすることが可能でした。
 一方今の時代は、幸運なことに、「時間というリソース」を意識した人達にとっては、若者年配問わず、以下の理由によりチャンスの時代なのかもしれません。

  • コロナ禍によって全ての事柄の見直しが行われた結果、大切なことが再発見できたこと
  • 「時間」「能力」「お金」という資産(リソース)は概ね交換可能であること※
    ※若い人には時間があり、年配者にはお金があるからです。ただし年配者は健康であることが前提です。

 今年は世界的にインフレが長期化し、金利が上がり始める年になりそうな気がしています。
 私達はコロナ禍という転換期をチャンスの時代と捉え、「時間」「能力」「お金」というリソースを自分がやりたい事に集中して投資していきたいものです。私達が今行う意思決定とどういう行動を取ったかが、今後10年間の結果を大きく左右するはずです。

税理士 大津留廣和
『ビジネスエリートになるための教養としての投資』奥野一成著 ダイヤモンド社より一部引用

健康管理がお金管理になる

 どんなにお金を管理しても、健康を害したら、結果お金はなくなります。足の筋肉、お尻の筋力がどれだけ若いかで、その人の肉体年齢が決まるのです。足を鍛えるのは地味ですが、それをやっておくことが大切です。歩くだけでもいいのです。足を鍛える人は大人になる、足が衰えると老人になる。と言われています。

『60代でしなければならない50のこと』中谷彰宏著 ダイヤモンド社より一部引用

 プロのカメラマンの特徴は「角度」のとらえ方にあります。私たちの人生や経営においても、「角度」のとらえ方によって思考や行動が大きく変わります。ゆえに美術館めぐりや百貨店・電気屋さんめぐり、散歩やゴルフ等のスポーツを通じて足を鍛えることが健康管理につながるとともに、新たな「角度」のとらえ方を身に着けることで、思考や行動を変えていくことができます。よく、以下のように言われています。

  「能力」の差は小さい
  「努力」の差は大きい
  「継続」の差はとても大きい
  「習慣」の差は一番大きい

 要するに、「能力<努力<継続<習慣」なのです。そのため、「すべてはあなた次第である」と言われています。心構えと毎日の習慣が健康にもなるし、事業の発展にもつながるのです。
 あわせて、よく「人生はただの一度限り」と言われますが、誰にとっても当たり前のこの「一度限り」ということを、私たちは往々にして忘れ、若しくは忘れてしまっているかのように振る舞っています。令和4年がスタートしました。私は、大切な家族を守り、自分のやりたいことや事業の再構築に挑戦する年にしたいと思います。
 あなたの習慣があなたの将来を決めます。私達経営者は時代の変化に対応して健康管理・資産管理を「習慣になるまで継続すること」を意識していく必要があるのではないでしょうか。

税理士 大津留廣和