最近の税制改正の中で特に
①贈与税の改正(相続時精算課税制度他)
②NISA制度の改正とiDeCo制度の充実
この2つの動きから、政府は国民に対してお金の動き、特に「貯蓄から投資」の動きを加速し始めたように感じています。
政府が税制改正を行い住宅ローン控除の仕組みを充実すると、結果として家を建てる人や買う人が増え、国民の住宅環境が整備されます。その結果、国民自らが日本経済を拡大(景気を上げる)させていくのです。
「贈与税は相続税の補完税である」と言われています。
日本人の平均年齢が上がっている現在、100歳まで生きると仮定すると、子供達が実際に相続する年齢は70歳代になる可能性が高いと思われます。もし70歳代で財産を相続したとしても、日本経済に与えるインパクトは少ないです。なぜなら、人間が一番お金を使う時期は『「子育ての教育資金」と「住宅資金」として使用する時期』だからです。
もしそうであるならば、相続時精算課税制度等を利用しできるだけ早い段階で財産を次の世代に渡し、充実したお金の使い方と日本の素晴らしい企業の為に長期的視点から真のバリュー投資を行ったほうが日本経済に与えるインパクトが大きいのではないでしょうか。その結果、国民の財産形成に役立つと共に、日本の素晴らしい企業の成長発展のお手伝いをすることができるのです。
しかし、現実社会はこの動きに水を差すかのように、昨年の8月5日にはブラックマンデーの下げ幅を超える日経平均株価4,451円安の大暴落が起こり、今回のトランプ大統領の関税問題から世界の株式市場は一気に下がり続け、日本においても4月7日には一日で一時的に2,987.84円の下げが起こりました。もの凄い暴落だと思います。
今までの相続対策は評価額を下げることに力点が置かれていました。この行為はデフレ時代の日本においては正しかったのかもしれません。しかし、これからの時代は税制改正から見えてくる「貯蓄から投資」のお金の流れを理解し、「相続時精算課税制度等」を利用することや、次世代が財産を増やす時代に移りました。節税ではなくインフレ社会に対応する為に、相続財産を敢えて増やす行為、そして次世代の財産を増やす行為が必要だと思います。結果相続財産が増え、相続税が増えることになるものの、相続税を余裕をもって支払うことができるように財産形成する時代に突入したのかもしれません。
今回の暴落は『「貯蓄から投資」の流れは正しいが、各人が努力し勉強と経験を積まないと大変なことになりますよ』という警笛かもしれません。今回の暴落のような異常事態がおこった際、経営者や投資家の人達は平時と同じように冷静に対応する心構えができるように、常日頃から何を意識し、どう考え、どう行動するべきかを考えさせられる貴重な機会だったと思っています
税理士 大津留廣和
相続時精算課税:
相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。
贈与の総額2,500万円(ただし、年間110万円の基礎控除あり)までは贈与税0円、2,500万円以上は、超えた部分に20%の贈与税が発生します。但し相続の際には贈与された金額の総額を加算します。
「今、人生で最も大切にしている価値観は何か」という質問を投げかけられたら私はそれに対してどう答えるだろうか、と最近考えるようになりました。人間は最も大切な価値観を心に決めると今後の方針が明確になると言われています。
古希を迎える私の場合は「自由」と「時間」にあると心に決め、「自分のやりたいこと」と「自分のために働くこと」と「好きな仕事をすること」を意識することだと思い始めました。お客様に対しては「正しいお金の思考・使い方・投資・事業承継・相続対策等」を一緒に考えるお手伝いができれば良いと思っています。
今年94歳になったバークシャー・ハサウェイの最高経営責任者(CEO)である世界的な投資家ウォーレン・バフェット氏にとって人生で大切なものは何といっても、パートナーや気のおける友人と過ごす時間であり、自分の好きなことをする時間であるそうです。そしてバフェット氏が日常で好きなことは、食べる、本を読む、眠るの3つであり、その為、食べる時間はたっぷり取り、寝る前に1時間は本を読み、寝る時間もたっぷり取っているとのことです。
併せてバフェット氏はできるだけ長くバークシャー・ハサウェイの会社で意思決定を続けたいという意向を表明しており、「65歳で引退しようとする者はバークシャーのCEOとしては失格だ」「わたしの年齢(94歳)になったら、自分の愛した人たちがわたしをどれほど愛しているかによって、人生が成功したのか見当がつく」とも語ったそうです。
「人生で最も大切にしている価値観」及び「次の世代のために自分ができることに取り組むこと」を意識し続けることを習慣にしていきたいと思っています。
中小企業の経営者であれば、事業の「存続(事業承継)と発展」を考える以上に、どうやって会社を成長させていくかという「成長戦略」を一生考え続けていくものと思っています。
税理士 大津留廣和
誰かに自転車の乗り方を教えようと思ったとして、本を渡して読めと言うだろうか。自転車運転の物理学、バランスの取り方、曲がり方と乗り方と止まり方といったことを延々説明する授業に連れて行くだろうか。それとも、いくつかアドバイスを与えたら、自転車に跨らせ、背中を押してやり、自分でコツをつかむまで転ぶままにしておくだろうか。
自転車の乗り方を本や授業で学ぼうとするのがいかにバカな話かということは誰にでもわかるだろう。世界中から説明を集めてきたうえでもなお、結局は私や私の子供がやったのとまったく同じ方法でマスターする以外ない。何度も何度もミスをして痛い思いをする以外にない。私たちは過ちから学ぶような仕組みになっている。しかし、何を学ぶかは私たちが間違いにどう反応するかで変わってきます。
『バフェットとソロス勝利の投資学』マーク・ティアー著ダイヤモンド社より一部引用
政府が「投資立国」ではなく「資産運用立国」を政策目標としました。その為に、政府は私達に「新NISA制度」と「iDeCo(イデコ)制度の充実」をプレゼントしてくれました。背景には、個人の金融資産の形成において、「株式や債券を売買して儲けようとするのは邪道である。そうではなくじっくり保有することで資産を増やしていくことが王道」という発想があるからだと思います。そしてこれからの自身の人生において、勤労収入、年金収入に加えて、資産運用から得る収入の3つの安定収入源を確保することを目標にしてほしいということだと思います。
4本の足がしっかりしていると椅子が安定するのと同様に3つの収入源があると私達の生活が安定していきますので、できるだけ早い時期にこの仕組みを習慣化することは大切なことです。
資産運用は日本の繁栄の為に有効な手段です。資産の有効活用により国民一人ひとりが豊かになっていけば、それはすなわち国の繁栄を意味します。資産運用により所得が安定すれば個人消費が盛り上がり、経済は拡大します。このプレゼントをご自身のものにするためにはまず、「自転車にはじめて乗れるようになったときのように」経験そのものを早く始めることです。ご自身の体と頭の中に落としこんでいく為に、少額でもいいのでまず株式投資や資産運用への第一歩を踏み出しましょう。色々なミスや失敗を通じて経験を繰り返すことが大切です。良い習慣を身につけるには時間がかかります。ご自身に良い影響を与える本をたくさん読む習慣や、良い影響を与えてもらえる講演会にも出席しましょう。
そして良い影響を与えてくれる友を持ちましょう。その経験は次世代の人達にとっては、ビジネスや今後の生き方における最良の教科書になるとともに「事業承継」や「相続対策」における教育にもなると思っています。あわせてご自身のバランスシート(資産総額)を毎月把握する習慣を身につけるとともに、「学びと読書」が人間を成長させるためには絶対に欠かせないことを意識しましょう。ご自身と次世代の人達と一緒になって投資を行うことを通じて経営センスを磨いていく、そんな生き方を実践していきたいものです。
税理士 大津留廣和
政府が「人生100年時代構想」を掲げているように、日本は人生100年が決して夢ではない時代に入りました。
現在の75歳の体力は昔の65歳に優に匹敵します。
動物の自立は自分で食い扶持を得ることなので、だいたい20歳ぐらいまでを子供とすると、大人としての人生は80年あります。そう考えると20歳からスタートして半分の40年が経過した60歳は、ちょうど人生のど真ん中。人生100年時代の60歳は折り返し地点と位置付けられます。「60歳になったらそろそろ人生も終わりに近い」と思っている人は、定年制という考え方に毒されているのです。もちろん「還暦後は余生だ」といった捉え方も間違っています。マラソンでいえばまだ半分しか走っていない。それで何を悟り切ったことをいっているのか、という話です。守りに入っている場合ではありません。
『還暦からの底力』出口治明著 講談社現代新書より一部引用
人生で最も大切な価値観は何かをゆっくり考えるのが「人生の後半」の始まりだと思います。
還暦を過ぎた時期は、子供の教育や住宅ローンの返済も終わり、自分の時間を自分の為に使い始めることができるスタートでもあります。私が思う「人生で最も大切な価値観」は自分自身が「経済的自立」をし、「自由」に自分の意志で自分の時間を使えることだと思っています。
令和7年を迎えるに当たり、今年を自分自身のこれからの人生の生き方をきちんと考え直す年にしたいと思っています。人生で一番大切な事は、パートナーや友人達と食事をしたり、旅行したり、遊んだりすることや自分自身のコンテンツを磨き成長し続けることです。その為には年齢に関係なく積極的に外に行ったり自分のコンテンツを豊かにしたりして、新たな人との出会いをつくったほうが良いと思っています。家に引きこもっている場合ではありません。
休暇をきちんと取るとともに、一度しかない人生を意識し毎日ベストを尽くす。何歳になろうとも「常に学び成長する」姿勢と実践、併せて次の世代のために自分ができることに取組むことを意識し、「次世代が憧れる生き方」をし続けたいと思っています。
税理士 大津留廣和
経済的自立:「経済的自立」を得るとは十分な「収入」ではなく、十分な「資産」を得ることだ。「人間関係」に「時間」を投資し、人生を楽しもう!